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尿でがんリスク検査: マイシグナルと他の尿検査の違いとは

がん検査

尿でがんリスク検査: マイシグナルと他の尿検査の違いとは

  • 公開日: 2023.09.27
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  • 最終更新日: 2023.09.28
質問者

質問者

尿を使ってがんを調べられる検査があることを友人に教えてもらいました。便利な世の中になりましたね。早速調べてみたら、マイシグナルなど、尿を使った様々ながん検査サービスがあることを知りました。それぞれの違いは何でしょうか?

先生

先生

いずれの検査も尿を使って検査するという点は同じですね。ただ検査の仕組みや特徴が大きく異なります。今回はポイントを絞って違いを解説していきますね。

質問者

質問者

そうなんですね。ぜひ教えて欲しいです。

先生

先生

いずれの検査にも共通して言えることですが、「民間のがんリスク検査キット=がんの診断ができる」わけではない点に注意です。そして「精度100%のがんのリスク検査はない」ということです。

質問者

質問者

え?がん検査キットでがんの診断ができないのなら、一体何が分かるのですか?

先生

先生

そもそも、がんは簡単に見つかる病気ではありません。がん検査キットで分かることは、がんに罹っている可能性があるかどうか。がん検査キットは“スクリーニング”といって、がんの可能性がある人をふるい分けるのが目的です。

がん検査キットで陽性(異常あり)になった場合は、精密検査やがん検診・人間ドックなどを受けてがんであるかどうかを調べることが推奨されます。

尚、がん検査キットを利用する最大の目的は“がんの早期発見”です。初期の段階の小さながんを発見することで生存率が上がるだけでなく、治療の選択肢も広がります。

がんリスク検査キットを使っていても、がんの早期発見の確率をあげるために、健康診断やがんの定期検診には行かないといけません。

質問者

質問者

なるほど。わかりました。

それでは具体的に、マイシグナルと各種尿を使ったがん検査の違いをみていきましょう。

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費用の違い

質問者

質問者

まず何より気になるのは費用の違いです。

尿を使ったがん検査には色々なものがあり、その大体が数千円~4万円程度。一方でマイシグナル (オールインワン)の費用は53,900円 (税込)です。

質問者

質問者

マイシグナルの値段は高いですね… 同じ尿のがんリスク検査なのに、他の検査と比較してなぜ、ここまで費用が違うのでしょうか?

先生

先生

尿を使った検査といっても検査の仕組みが全く違うので、単純な比較はできません。

検査の費用は、利用している技術がどのようなものかに大きく作用されます。例えばがんに関連する血液検査でも、治療方針を精密に決めるために、次世代シーケンサーという高額機器および最先端の解析技術を用いて血液中に流れるがんのDNAを解析することで、がんの遺伝子的特徴を詳細に分析する遺伝子パネル検査は、数十万円かかります。

一方で一般的な腫瘍マーカー検査(CEA、AFP、PSAなど)の多くは比較的古典的な技術を利用していますので、2,000円~3,000円程度で受けられることが多いです。

検査の費用は、研究開発にかかった費用や、測定機器・試薬にかかる費用、検査に携わる技術員の工数など様々な要因で決定されていますので、同じがんという病気を評価する検査であっても、こうして費用に100倍以上の差が生じることは普通のことです。

検査原理・メカニズムの違い

質問者

質問者

マイシグナルと他の尿検査の仕組みはどう違うのでしょうか?

マイシグナルは、がん細胞が体内で周囲の細胞とコミュニケーションをとる際に利用する物質として世界的に研究が盛んであるマイクロRNAという物質を利用した検査です。最先端技術でマイクロRNAを網羅的に尿中から捕捉して、その信号の大規模データを人工知能によって解析し、がんのリスクがあるかどうかを判定します。

尿を使ってがんの可能性を調べる検査には、尿中のタンパク質を利用する検査もあります。

尿に含まれるヘモグロビンというタンパク質の存在を検査する尿潜血検査は、膀胱がんのスクリーニング検査として一般的な健康診断の項目に含まれています。その他、尿を顕微鏡で直接観察して、尿中にがん細胞が混じっていないかを調べる尿細胞診という検査もあり、こちらも膀胱がんの可能性を調べる検査として利用されています。

他に尿を使ったがん検査として、生物の嗅覚を利用した尿検査があります。

例えば、線虫という生物の動きを観察するという方法があるようです。線虫という体長約1ミリの小さな生き物が、がん患者の尿に含まれる何らかの匂いに反応して動くという現象が報告されていて、その動きの特徴をみてがんのリスクがあるかどうかを判定することができる可能性があると論文で報告されています。(*1)

生物の嗅覚を利用した検査はこれだけではなく、尿ではなく呼気を利用していますが犬の嗅覚と集中力を用いてがんの匂いをかぎわけることができる、という報告もあるようです。(*2)

質問者

質問者

同じ尿検査でも全く仕組みが違うんですね。

調べられるがんの種類の数の違い

マイシグナルは複数のがんをまとめて調べられる検査です。同じがんの早期発見のための検査であっても、手法によって調べられるがんの種類の数が違います。

マイシグナルは7種類のがんリスクを調べます。

マイシグナル – オールインワン食道がん
肺がん
乳がん
胃がん
すい臓がん
大腸がん
卵巣がん
尿ヘモグロビン検査(尿潜血検査)膀胱がん
尿細胞診膀胱がん
生き物を使った検査(犬、線虫など)様々ながん
質問者

質問者

種類の数だけで見ると、生き物を使った検査が多いですね。様々ながんの種類をカバーしてくれるのであれば、これだけ受ければ安心できそうです。

先生

先生

そうですね。ただ、いずれの検査にも言えることですが、複数のがんを調べる検査は特定のがん種に特化した検査と比較してがん種によっては精度が落ちる可能性があるという点は注意です。

質問者

質問者

どういうことでしょうか?

複数のがんのリスクを同時に調べる検査の場合、特定のがんに特化した検査と比較して、一つの測定原理で各がんをまとめて検出をしていることが多いため、各がん種に特化した検査ができない可能性があります。

例えば、胃がんのABC検査は、胃がんの大きな原因と考えられているヘリコバクター・ピロリ菌と、胃粘膜の萎縮を調べるペプシノゲン検査の2つを組み合わせているため、より胃がんに特化した検査だと言えますが、複数がんの検査だとここまで詳細に見ていないことも多いです。

さらに重要なのは、結果の解釈が簡単ではないことです。一つのがんの検査だけでも、結果の解釈は簡単では無いのに、複数がんになることでより高度な判断が必要になります。

質問者

質問者

解釈…でしょうか?

先生

先生

例えば血液検査の中にもがんマーカー検査と呼ばれる検査があるけど、その値だけでがんを判断するのではなく、他の検査値やその人の生活習慣や既往歴などをもとに総合的に判断します。

質問者

質問者

なるほど、それはそうですね。レントゲン写真で肺に影が写っていたとしても、がんであるとは限らないからお医者さんに話を聞きますよね。

先生

先生

その通り。検査で所見があった場合、精密検査をして確定診断をするためにも専門家に結果を診てもらう必要があります。複数がんの検査だと、より総合的な判断が必要になります。

質問者

質問者

だから、マイシグナルも生き物を使った検査もあくまでスクリーニングということなんですね。

ただし、尿を使った検査の中でも、尿潜血検査は、「膀胱がん」に特化した検査ですので、結果の解釈が簡単です。尿潜血検査が陽性となった場合は、あくまでも膀胱がんに特化した追加診察・検査をしていけば良いのです。このとき、膀胱がんである可能性をさらに確かめるための追加検査という位置づけで、尿細胞診も用いられます。

がんの種類ごとにリスクが特定できるかの違い

先生

先生

最後の違いは、がんの種類ごとにリスクが特定できるかの違いです。

マイシグナルは7つのがんの種類ごとに、それぞれリスクを特定できますが、検査の手法によっては、どのがんの種類か特定できないものもありますので注意が必要です。

質問者

質問者

確かにがん種ごとにリスクが分かったほうが良いですが、がん種が特定できないことはそんなに重要でしょうか?がんがあるか無いかが分かるだけでも十分だと思います…

先生

先生

大腸がんは消化器科、肺がんは呼吸器科など、それぞれのがんの種類ごとに専門家がいます。

一口にがんと言っても部位によって病態や治療の方法も様々であるため、診断は一般的なクリニックではなく、専門の病院で行います。


そのため、体のどこかにがんがあるかわかっても、がん種が特定できなければ、どの診療科にかかれば良いか判断ができません。

質問者

質問者

がんの種類が特定できなければ、全身を調べられるPET検査を受けるのはどうでしょうか?

先生

先生

不安をあおるようで申し訳ないのですが、精度100%のがんのスクリーニング検査はなく、また、全てのがん種を調べられるわけではありません。実際のところは、がんの疑いがある場合に、疑わしい箇所の細胞や組織を採集し、顕微鏡で観察して初めて、がんかどうかを確定することになります。

また、PET検査は一度にほぼ全身の撮影が可能ですが、がんの種類や場所によって、早期発見に有効ながんとそうではないがんがあります。例えば、PET検査での診断が難しい部位としては、脳や心臓、胃や腸などの消化管、肝臓、泌尿器や炎症を起こしている組織など、がんと関係なくブドウ糖が集まりやすい部位では診断が難しいと言われています。

仮にPET検査を受けて異常なしという結果が出た場合でも、PET検査の結果を疑ったり、ずっと心に引っかかりがあるまま過ごす可能性もあります。

さらに、PET検査を受ける場合の費用は自己負担の場合約10万円もかかりますので費用的な負担もあります。

一方で、がんの種類ごとのリスクが特定できれば、次に受ける検査・診療科も明確です。
その検査でがんが見つからなければ、それ以上追加の検査の必要もなく、心理的な負担も少なく、結果を受けて安心できるかと思います。

先生

先生

検査で大切なのは、万が一リスクがあると出てしまった際の対応です。がんの種類が特定できないことのデメリットの詳細はこちらの「がん種が特定できない検査の3つの落とし穴」もご覧ください。

まとめ:いずれの検査もスクリーニングであり「がんの診断」はできない点に注意

マイシグナルも、生き物の嗅覚を用いた検査も、尿潜血検査も、あくまでも現在健康な人が、がんリスクをスクリーニングすることを目的とした検査であり、がんの診断のための検査ではありません。疑わしい自覚症状があるなど、既に明確な懸念がある場合は、すぐに病院で精密検査を受けることがすすめられます。

それぞれ検査の仕組みや特徴、費用面や検査を受けた後に必要な対応などが全く異なります。どのようながん検査にも必ずメリットとデメリットがありますので、それぞれの検査の特徴をよく理解した上で、受けるようにしましょう。

参考
  • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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この記事の監修者

水沼 未雅

博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。ストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。