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「生存率」が高ければいいわけではない!? 勘違いしがちな落とし穴、がん検査の大切な指標を解説

がん検査

「生存率」が高ければいいわけではない!? 勘違いしがちな落とし穴、がん検査の大切な指標を解説

  • 公開日: 2023.10.27
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  • 最終更新日: 2023.10.31

本記事では、自宅でできるがんリスク検査サービス「マイシグナル®」の開発元 Craif株式会社の最高技術責任者 (CTO)の市川が、報道機関向けのメディアセミナーにて講演した内容をご紹介。

本当に価値のある検査ってなんだろう?検査について正しく理解する上で、誤解されがちな「本当に有用な検査の定義」について市川が解説しました。

本記事を理解する上で前提となる知識である、検査精度(感度・特異度・陽性適中率)について知りたい方は、過去記事「精度98%でもほとんど当たらない!?医師も意外と知らない、検査の精度と数字のトリック」を是非御覧ください。

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レクチャーの概要

医師も勘違いする、「生存率向上」に潜むの3つの落とし穴

1.がん検査を行うことで、実質的に何も変わらなかったとしても、見かけ上生存率が向上してしまうバイアスが存在する

2.がん検査を実施することで生存率は向上するが、そのデータの見方には注意が必要

早期発見すれば安心、とは限らない

1.スクリーニング検査により、がんが早期発見できて予後が改善する良い側面もある一方、望ましくない側面も存在する

2.検査の有効性を評価するときには、利益と不利益の両面を考慮する必要がある

がん検査の本当に大切な指標とは?

1.がんスクリーニング検査で重要な指標は「死亡率の減少」であり、対策型検診に組み込む基準となる

2.がん検診に含まれる検査の感度、特異度、陽性適中率等が高いとは限らない

詳しくは、こちらの解説動画を御覧ください。

講演全文

改めまして、この勉強会の目的をご紹介させていただきますと、検査っていうのは実は非常に奥が深いので、少しでも理解や解釈を正しくできるところを我々としても発信していきたいと思っております。
それを踏まえて、いろいろな複雑なところ検査の現状と将来どのように発展していくのか、のビジョンについての理解を深めていただきたい、それを踏まえて我々の製品マイシグナルをどういった位置付けで考えているのかお話しします。

私はCraifのCTOの市川と申します。
元々自分は薬学系の研究者で、博士号を取得した後、製薬会社でMR、マーケティングに従事して、2019年からCraifに参画して、R&Dの全般を担当しております。

第1回では感度と特異度、陽性的中率とか、なかなか理解が難しいような検査の基本的な評価方法をご紹介させていただきました。それを踏まえて今日はもう一歩踏み込んで、生存率だったり、がん検査の落とし穴があるので、ご紹介したいと考えております。

前回について簡単に振り返りさせていただきたい。

先ほど話した通り、検査の基本的な数字、感度や特異度を一通り説明した内容になっておりまして、非常に重要なこととしては検査の精度を考えるとき、 検査の結果の他に実際に疾患があったか、なかったかの両面で考えることが非常に重要です。

その中で実際に疾患を持ってる人を正しく陽性だと示せる尺度は感度となります。
一方で、疾患がなかった人、実際に陰性な人を正しく陰性だと示すことができるものを、特異度。
このように2つの軸で示すことが大事という話をさせていただきました。

またトピックにあった通り、検査をしていくと実際に感度98%、特異度98%の非常に高精度な検査だったとしても、状況によって、有病率が1%のように、実際に受ける人の有病率が低い状態ですと、 実際に疾患のある人が1万人中100人しかいない状況を踏まえて、いくら感度、特異度が高かったとしても、実際に陽性と出た人のうち、実際に陽性だったという人は直感より遥かに低く出てしまう。
といった問題をご紹介させていただきました。

本日はタイトルとして、生存率が高ければ良いわけではない、医師も勘違いする落とし穴、がん検査の大切な指標を解説といった内容を説明したいと思います。

今日のテーマ全体に関わる問題で、ある論文から持ってきた質問です。

以下3つのスクリーニング検査があり、このうちしっかりと検査を受けることによって、がんから命を救う効果があるという検査は、このうちのどれでしょう。
といったことをお伺いしたいと思います。

 1つ目がこの検診を受けることによって、5年生存率が高まりますよ、検診をちゃんとやると99%の5年生存率。検診がなかった場合、症状があって発見される場合だと68%です。というのが1番。

2つ目が、この検診を受けることで、検診を受けてない場合と比べて、がんの発見率が高い。検診がなかった場合は1200人のうち、27人くらいがなんらかの形で見つかっている。検診を受けることによって、この数が46人になる。2番目は多くのがんを見つけることができる指標です。

3つ目が、検診を受けた人の死亡率が受けてない人よりも低いことです。検診を受けた人だと、1000人あたり2人なのに対して、検診をやることによって1000人あたり、1.6人さがります。というデータがあるとします。

お聞きしたいことは(がんから命を救う効果があるという検査に)該当すると思ったもの全てに手をあげていただきたい。
1番が効果があると思う方、2番が効果があると思った方、3番が効果があると思った方、 非常に割れていたので、ネタバラシは後ほど実施いたします。

本日のトピックはこの問題を覚えていただき、中身に入っていきたいと思います。
まず医師も勘違いする生存率向上の3つの落とし穴を取り上げていきたいと思うんですけれども、こちらはですね、統計データからとってきました大腸がんの発見されたステージ別の5年生存率をあらわしています。

ステージ1で見つかると、5年生存率は83%です。
ステージ4で見つかると、5年生存率は17%です。

なので見ていただくと、 ステージ1で発見できると、約5倍くらい、高いということで、これだけでもがんは早期発見することが非常に重要だとわかるデータになっているかと思う。

ただやっぱりこの早期発見っていうのは重要だってのは間違いないですけども、このデータ自体の解釈の仕方っていうのは、非常に注意が必要です。といった話をしたいと思います。
なぜかと申し上げますと、 この生存率を見ていくと、いろいろなバイアスがかかってしまう可能性がある。

代表的なものを3つ、本日ご紹介したいけれども、リードタイムバイアス、レングスバイアス、過剰診断バイアス、といった名前がついていて、それぞれどんなことが起こるのかということをご紹介します。

まず一番のリードタイムバイアス。

これは仮にある人が58歳でがんを発症して、70歳で亡くなってしまうといった方がいらっしゃったとします。
検診がなかった場合、 実際58歳でがんが発症してるんですけれども、検査とか受けていないので、本人はそのがんがあるかないか、わからない状態というのが長く続いていて、67歳のときに自覚症状があって、検査をしたときにみつかりました。
この状態ですと、5年生存率っていうのは0%になってしまいます。

一方でこういった比較的進行がゆっくりで、がんを発症してから10年ぐらいになってようやくその自覚症状があらわれたことを想定した場合、仮に検査をこの人は毎年受けている。
その検査の中で、例えば60歳で検査をしっかりやって、見つかりました。
でも、もし仮に58歳で発症して、70歳で亡くなってしまうことがかわらなかった場合、この人って、検査で早く発見することができたけど、70歳で亡くなってしまうことは変わらなかった。
となった場合、5年生存率はここで見つかる人が多ければ、100%という形になってしまう。

なので、仮に検査を行うことによって、早く発見することができた場合、その人の予後が全く変わらなかったとしても、生存率っていうのは上がってしまう。
そういったことが起こりうる。
これがまず一つ目のリードタイムバイアスという。

二つ目のレングスバイアスにうつりたいと思います。

レングスバイアスという、バイアスになります。
今回ちょっと状況を変えまして、進行が早いがんと進行が遅いがんの二つが存在したと仮定し、進行の早いがんは発症してから、半年は症状なしで、1年間が症状があり。
ただ、全体としては発症してから1.5年でなくなってしまう。

一方で、進行の遅い間は、がん発症してから2年間症状がなくて、亡くなってしまうまで、症状が出てからさらに3年で亡くなってしまう。
5年間で亡くなってしまうようながんがあったとします。
もちろんこちらの方は悪性度が高くて、こちらの方がゆっくり進行してしまうがんです。

仮に、こういった2人が毎年定期検診を受けていた場合を考えていきます。
進行が遅いがんの人の場合は、毎年検査を1年に1回受けていたと仮定したら、がんが見つかるチャンスっていうのは2回は少なくてもあったはず。

一方で進行が早いがんは、検査を受けるタイミングによっては、見つかるチャンスがないかもしれない。
やっぱり毎年検査を受けていて、たまたまこの症状なしの半年間の短い期間の中でこの検査を受けた場合は、検査で見つけることができた。
としても、もしかしたらタイミングによっては、この検査のタイミングより自覚症状があるタイミングの方が早かったケースは、検査でなかなか見つからない。

これをまとめますと、年1回検査をしっかり受けたとしても、進行が早いがんっていうのは見つかる可能性が低くて、 進行が遅いがんの方が見つかってくる。
レングスバイアスはどういったバイアスかというと、検査をやればやるほどこういった進行が遅いがんの方が、見つかる可能性がどんどん上がってくる。進行が遅いがんは生存率が高くなってしまう。
ということが起きてしまう。というのが二つ目のレングスバイアスです。
検査をやればやるほど、見つかるタイプのがんは進行が遅い、 ゆったりとしたがんの方が見つかりやすいですよっていうのが2つ目のバイアスになる。

最後三つ目のバイアス、画像診断バイアス。

これがどういったことかというと、例えば現状ですと、進行性のがんの方が1000人いて、5年後にはその40%がなくなってしまう状況。
この場合5年生存率は1000人中、400人が生存されていて、600人がなくなってしまう状況。

ここで、定期的ながん検診を加えたときに、仮にあまり悪性度が高くない進行性の低いがん、という人をたくさんひろってきたとします。
2000人そういった非進行性のがんを検査をすることによって、発見することができた。
先ほどのレングスバイアスも、関わってきますが、あまり悪性度が高くない、ゆっくりと進行するがんの方が見つけやすい。
こういった方をたくさん発見することができたと、仮定した場合、何が起こるか申し上げますと、この人たちは元々その進行性がないので、結局5年後もみんな生存している。

 一方で進行性のがん患者はこの設定と全くかわりませんので、このうちの400名は生存、600名はなくなってしまう。
そうすると、合計元々がんは1000人しかいらっしゃらなかったが、がん患者としては3000人いるという、検査をいっぱいやることで、がん患者の数が増えてしまう。だけど、亡くなってしまう方はかわらない。
5年生存率は3000人中2400人は生存してるので、状況は何も変わってないはずなんですけど、5年生存率が大幅に上昇してしまう。ということが起きる。
これが過剰診断バイアスです。

ポイントとしてはやっぱりがんを見つけるっていうこと自体は意味があると思いますし、それで生存率が高いっていうことはすごい重要なんですが、 この場合に限っていうと、患者さんの予後っていうのは全く変わってない。
元々見つからなくても、進行が遅かった人っていうのは5年後にみんな生存しているし、上の状況でも、書かれていないだけでこういう方がいらっしゃったはず。

しかし下の方で、検査で多く見つかって、元々いずれにしても発見された方っていうところも死亡率では変わらないにも関わらず生存率が大幅に上昇してしまう。
こういったことが起こりかねない。
生存率っていうのを見る時に気をつけなきゃいけないこと。

ここまでをまとめますと、がん検査を行うことで見かけ上、生存率が向上してしまうバイアスが存在してしまう。
なので、がんの生存率は非常に重要なデータではあるんですけども、その見方とか、解釈の仕方っていうのは注意が必要だということが、この章で伝えたいこと。
この前提としては、58歳で発症して、70歳で死亡してしまうようながんがあった場合です。

それでは次のところに進みますが、少し一石を投じるようなタイトルになってしまっていますが、早期発見すれば安心とも限らない。
一見直感とも異なってくると思いますが、 ここもがん検査を理解するうえでは非常に重要なことになりますので、こちらのご紹介させていただきたいと思います。

ここで考えたいのは、がん検診を受けて、その次のステップでは何が起きるのか考えたい。

検診を受けた人は陽性でしたよ、陰性でしたよ、という結果を受け取ることになる。
先ほどの感度、特異度、のところで簡単に触れさせていただいた通り、実際は陽性の人でも、本当に陽性だった人、 実は陰性、偽陽性だった人、もいらっしゃいますし、陰性という結果がでた人のうち、本当は陽性だった人、つまり偽陰性。本当に陰性だった人。
こういった実際に受けた結果と、実際にその人のがんのステータスってのは異なっている。

それぞれのパターンを考えていきたいんですが、本当に陰性だった人っていうのは安心で論点はないのですが、間違った結果がでてしまった人は、本当は陽性だった人に関しては、診断の遅れだったり、医療機関にどうして見つけてくれなかったんだ、そういった問題は起こる。

 一方で、本当は検査結果が陽性で、実際は陰性だった人に対しては、いろんな追加の検査をしなければいけないので、例えば内視鏡をやったりとか、でも結局何もなかったねとなり、追加の負担もありますし、陽性ですというと出てしまったらすごい心理的にも不安定なってしまう。
なのでこういった偽陽性、偽陰性っていうのは間違いなく問題になるっていうのはわかりやすいところだと思います。

問題は検査で陽性と出て、実際も陽性だった人。

この人たちも、めでたしめでたしではないかもしれない。
実際に陽性で、検査で見つかって、それによって適切なアクションがとれて、早く治療できて、結果助かった人に最もフォーカスが当たりやすいとは思う。

実際の医療では必ずしもそうではない。
ということがここの難しさ、早く見つかって、予後が変わらなかったり、予後がかえって悪くなるってことはあるのかってことは実はたくさんある。

例えば、代表的なものをあげると、悪性リンパ腫、リンパのがんで、こちらガイドラインから引用している。

治療方針の中で、経過観察をすることを治療選択の一つとして、経過観察をすることっていうのは、診断された後にすぐに治療することに比べて、生存率の観点で不利になることはないですよっていうことが書かれております。

実際に悪性リンパ種の治療のガイドラインはこういう順番で治療しましょうね。と 言ったアルゴリズムが書かれているんですが、限局期と、進行期にわかれていて、限局期にはレディオセラピー、放射線治療あるいは進行期と同じ治療方針を適応するか、進行期の中でも、がんのサイズが小さいときの治療として二つ書かれています。
無治療経過観察、これは治療しないで経過観察しましょう。というのと、リツキシマブ(単剤)が並列に書かれている。

先ほどの文章ではこれどっちを選んでも変わらないですよっていうところが書かれている。
これはもうガイドラインレベルで薬を使ってもいいし、使わなくてもかわらないですよとかかれている。
こういったケースが実際にあって、種類にもよるが、種類によっては早く見つかっても治療しませんということが、実際に臨床現場で選ばれていることがあります。

さらに陽性となった後に、重要な観点としては、この検査を受けた人の転機、どういうその経過をたどっていくか、いくつか例を示したい。

まず肺がんの低用量CTでスクリーニングをしました。
1000人にスクリーニングをした時に何が起きるか、というところを海外の論文より引用して、779人の大多数は、何もなかった。
ただ残りの221人は陽性と出て、何かしら追加のアクションが必要。
そのうち180人は追加の精密検査を行うけれども、がんがないことになる。

この180人のうち13人くらいはがんがないってことを示すために、侵襲的な治療、生検であったり、肺に針をさして細胞をとってきて、何もなかったね。
この侵襲的な治療を必要とする人っていうのが一定数いる。

さらに残りの41名をみると、実際にこの人たちってのは肺がんになるんですが、この41人のうち、4人はもし検査を受けてなかったら肺がんだとわからないまま、一生を終えている。
要は肺がんで命を落とすわけではない。
あまり悪精度が高くない肺がんであったりして、もともとご高齢で別の病院で亡くなったということが予想される。
その方たちは肺がんとわかったとしても、それで命が脅かされるわけではない。

 一方で、3人というのは実際に肺がんと診断されることによって、実際に命が助かったというふうになります。
なので、1000人全体を見ていくと、安心する方、助かる方は1000人中、3人くらいいる。

例えば不必要な侵襲的な検査をしなければいけないことだったり、がんが見つかってしまったけれども実際にそれが命を脅かすケースではなかったことがおこりうる。
といったことが肺がんの例です。

もう一つ、前立腺がんも例があるので、同じように例を示させていただきます。
前立腺がんに関しては、もう少し状況は厳しいです。
1000人の検診(PSA)を受けた時に、240人は陽性で、追加検査が必要ですよというような結果になる。
この人たちって、前立腺がんの生検をしていかなければならない。これ自体が侵襲的な検査です。
その240人のうち、100人というのが、実際に前立腺がんがわかってきます。

100人のうち20%から50%程度は、がんだとしても、あまり悪性度が高くないということで、これによってその命を脅かされることはなかった。
というようながんが全体の20-50%も含まれているというふうに推測される。

100人のうち80人は、実際にその手術や放射線治療という治療を受け、その中でも65人ぐらいはそういった副作用を受けています。
結果としては、実際に命を救える効果がある人は1人。
ただ転移を防ぐようなことができた人は3人くらい。
結局亡くなってしまう方っていうのもいらっしゃるということで、先ほどと比べて、精密検査のところは侵襲的な検査になる。

この場合って救えるその命の数と、その過程で受ける負担っていうのが大きい。
といったところがこのPSA検査の1000人受けてどうなるか、といったところが推測されます。

ここまでのまとめとして、このスクリーニング検査によってがんは早期発見できたよ、というところで、それは良かったと。いうことが多いんですけれども、必ずしもそうではない状況も存在するっていうことも留意しなければいけない。

検査の有効性を評価するというときは必ず、検査をするときの利益と不利益、この両面を必ず考えることが重要です。というところが、こういったデータからわかってくる。
代表的な利益としては、がんによった死亡のリスクが減らせたり、早期発見なので、より多くの治療が選択できる。
抗がん剤治療しなくても、手術を1回やることで、ミニマムな侵襲性でよくなる。
早めに見つかってよかったって方も一定いらっしゃる。

でも一方で、不利益な側面も考えないといけない。
精密検査じゃ侵襲性が高いものが多いし、例えば肺に針をさす、場合によっては過剰な治療として、本来必要なかった手術をしなければいけないケースもありますし、偽陰性、偽陽性の問題も必ずある。
後ほどこちらのベネフィットで書いた、心理的に安心するっていう方もいらっしゃれば、 実際に治療ができないケースが多く、患者としての人生が長くなってしまう、自分はがんと思いながら生きてしまうことも考えなければいけないいですし、がんという結果を受けたときの心理的な不安も拭えないので、早期発見できれば安心というところももう一歩踏み込んで考えると、利益と不利益の両方を考えることが重要だと思っています。

今日のアジェンダの3つ目で、本当に大切な指標というのは何なのか、という話をさせていただきます。
これを考えるうえで、今、日本で採用されている対策型のがん検診、この5つの胃がん大腸がん肺がん乳がん子宮頸がんの中で、特に大腸がんの検診に絞って、 この例を用いながらお話したいと思います。

大腸がん検診っていうのは、対象として40歳以上の人が毎年受けていただくものです。
何をするかと申し上げますと、問診と便潜血検査をやって、異常がなければまた来年検診を受けてくださいと案内。
そこで異常があった場合は、大腸内視鏡等の精密検査を受けて、がんが見つかったら治療する。がんがなければ1年後の検診で同じ検査を受ける流れになっている。
これは40歳以上の全ての方が年1回受けるように推奨されていている。

統計データがでており、そちらを見ていきたいと思うんですけれども、実際にみんな受けてくださいと言ってる検査にも関わらず、受診されてる方っていうのは全体の41%くらい。
そもそもあまり浸透していない現状がある。
この受けた人の中でも、要精密検査と出た人が7.6%、この要精密検査と出た人の中で、実際の受診率をみていくと、7割の方が受診しているが、3割の方は受診していなかったり、統計の中で把握できなかった人。

この受診した中で、実際にがんだったという人は約3%ぐらいというふうに推測されています。この3%は先ほどの例や前回の勉強会で紹介した陽性的中率に該当。
陽性的中率って数%で、検査陽性と受け取った人も実際にがんの人は数%しかいらっしゃらない。
高いと直感的に思われる方はあんまりいらっしゃらない。
実際にこの検査を受けて、要精密検査で実際にがんである方は数%しかいらっしゃいません。

続いて大腸便潜血の感度、特異度を見ていきたいです。
検査方法にもよるが、これも驚くほど低く、 これもガイドラインを作るにあたっていろんなデータが紹介されてますけども、特にこの化学法と呼ばれるものに関しては、感度特異度をみていただくと、感度70%程度や低いものだと10%台。
特異度に関しても50%-70%程度で、これを見ては感度特異度は高いと思う方はあんまりいらっしゃらないと思う。

よく新しいがんの検査ができた時に真っ先に感度特異度が注目されることが多い。
全国民に推奨されているがんの検査でも決して感度特異度が高くないっていうのが含まれている。
さらにもう一つ重要な指標である陽性的中率なんかも数%というレベルなので、全く高くない現状。

なぜ大腸がんに関してはこの便潜血検査が、みんな受けた方がいいよと推奨されてるかというと、死亡率を下げることができるいうことが実証されているからです。

こういったデータは、いくつかある中で代表的なデータをご紹介させていただきますと、 アメリカの試験で、約46000人、かなり大規模な試験ですけれども、50-80歳の健康な男女を集めて、スクリーニングをしない人、大腸内視鏡で2年1回スクリーニングを受ける人、毎年スクリーニングを受ける人、この三つにランダムわかれてもらって、それぞれの群の死亡率がどう変わるか比較したという研究で、30年間フォローしていく、46000人を30年にわたってフォローした。

内容を見ていくと、緑の線がスクリーニングを受けていない人なんですけれども、2年に1回受けた人、毎年受けた人、それぞれに22%、31%のリスクが低減できているといったことがこのデータで示される。
あれだけ感度特異度が低かったりにも変わらず、死亡率でいくと、これだけ下げることができるよということが、こういったデータで示されているので採用をされてます。
ガイドラインの中でも、感度特異度が決して高いとはいえないですが、死亡率減少効果を示す十分な証拠もあるので、実施することを強くすすめる。
推奨Aという形で、ガイドラインの中でも推奨される。そういった、形になります。

ですので、やっぱりこういったがんのスクリーニングという観点で見ると、死亡率をどれだけ下げられるところが非常に重要な指標になっています。こういった背景を踏まえて、対策型がん検診、5つがんっていうのは、そもそも対策型がん検診に推奨されているものに関しては死亡率を下げる目的であって、 検診の方法としては、死亡率の減少効果が確立している方法を使いますといった指針がなされています。

この理由としては、やっぱり検査を受けることによって、いろんなその人によって、早期発見できるとか、より幅広い治療ができる、メリットはあるが、一番大事な指標っていうのは、それによって死亡のリスクをどれだけ減らせたかといったところが、より直接的でもありますし、そういった指標を見ていくことが最も重要だ、というスタンスになってます。

タイトルにもあったんですが、最も重要な指標は死亡率を下げられたことです、と断言させていただきたいといってしまいたいんですが、 冒頭の質問に、戻ると、正解としてはこの3番。
がんから命をすくう効果があると言えるものは、3番の死亡率の低下効果があるものだけ、実はこういった数字って、前立腺がんの検査から数字をとってきていて、どれも同じ前立腺がんの実際の数字をあてはめているんですが、その中で効果があるのは3番。

ただ5年生存率っていうのはすごく大きく上昇したりするっていうのは先ほど話したいろいろなバイアスが、実際にこのような数値に反映されている。

実はこの論文は、ドイツで医師に対してアンケートをとった。
この中でどれが効果があるかということを質問した。
この1番、2番、3番の医師の回答をみていくと、2番は少しひくかったんですが、1番と3番は同じくらい効果があると回答。

ただ正解っていうのは1番は効果がない、2番もない、3番はある。やっぱり医師も勘違いをしているという。
数字のいろんなバイアスっていうのは正しく理解していると言い難い、さらに言うと、この生存率に関わる検査あるいは、死亡率を下げられる検査、どちらを患者さんにすすめたいですか。
という話をすると圧倒的に1番の検査の方が勧めたいという結果がでている。

がん検診というエビデンスであったりとか、そういった公的なプログラムにいれるためには、がんの死亡率を下げるっていうことは、とても重要だということは、直接的なデータとしては、死亡率が下げられることは非常に重要だが、ただ医師であったり、臨床現場で患者さんを見ている人はどういった検査を勧めたいのかというところが、実際の公的なプログラムの採用基準と違ってくることは、一つ重要なインサイトなのではと私は考えています。

この章まとめをさせていただきたいんですけれども、繰り返しになりますけど、がんスクリーニング検査で重要な指標は死亡率をどれだけ下げられるか。ということ。
そういった検査の感度と特異度、陽性的中率といった、重要ですよ、という話をしてきた指標は必ずしも高いとは限らない。
逆に言うと、これらが高ければいい検査とも言い切れない。
やっぱりその死亡率を下げられるか、どうかっていうのが、がんスクリーニング検査においては、最も重要な指標ということも間違いないと思いますので、そことの関連性っていうのは必ずしもマッチしてるわけではない。ということが重要。

それで最後に申し上げましたけれども、医師がどれだけこういった背景を理解した上で、臨床しているか、あるいは、 実際にご自身の患者さんにすすめたい検査はどういったものか、必ずしも死亡率減少とは限らないといったところも非常に重要なインサイトと思っております。

本日のまとめとしてですね、今日の振り返りをしたいと思うんですけれども、まず、生存率はよく出てくるが、非常に重要な指標でありつつも、これを見るときにはいろんな注意が必要です。
スクリーニング検査を評価していく際には、早期発見したら嬉しいだけではなくて、やっぱりその利益と、不利益両面を必ずみる必要がある。
そのがんのスクリーニング検査をする上では、死亡率が減少するといったことが、最も重要な指標になっているので、こういったことを考慮するっていうことが重要です。

以上が本日の内容です。

最後に全3回の中で、次回はさらに踏み込んで、感度、特異度、死亡率低下の話を踏まえ、最新がんスクリーニング検査の動向っていうのが、 どうなってるのかを、海外含めて、最新の状況をご紹介した上で、がん検査でどういうに進んでいくのか、これから出てくる検査は死亡率減少していくようなっていうのがどんどん出てくるのか、どうかという話をしながら、マイシグナル検査、我々Craifとしてはどういうふうに考えて、どのように開発してるかというところまでお話をしたいと思う。

ですので興味あれば足を運んでいただきたいと思っています。

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この記事の監修者

水沼 未雅

博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。ストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。