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がん家系とは?がんは遺伝する?遺伝しやすいがんと遺伝子検査

がん検査

がん家系とは?がんは遺伝する?遺伝しやすいがんと遺伝子検査

  • 公開日: 2023.11.09
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  • 最終更新日: 2023.11.15
質問者

質問者

最近、親類をがんで亡くしまして、うちはがん家系だって聞いているし…。私もがんにかかるんじゃないかと心配なんです。

先生

先生

「がん家系」は明確な基準があるわけではないし、心配ですよね。しかし、ほとんどのがんは遺伝ではなく、遺伝子の変化によって起こります。ただ、がんにかかりやすい体質や、生活習慣を受け継いでいることはあると思います。

質問者

質問者

あまり心配しすぎない方が良いんですかね?

先生

先生

がんになるのを防ぐには、がん検診を受けることが一番です。ただ、事前にがんのリスクを調べる遺伝子検査もありますので、心配であれば、受けてみたらいかがですか?

がんのリスクは遺伝以外のものが多いのですが、遺伝によって発症するがんもあります。ここでは遺伝や家族歴が発症に関係するがんとその原因となる遺伝子の変化について解説します。

この記事でわかること

  • がんが発症する原因は遺伝子の傷
  • がん遺伝子とがん抑制遺伝子の働き
  • ほとんどのがんは後天的に発生するが遺伝するがんもある
  • がんにかかるリスクを自宅で検査する方法

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がんは遺伝する?がん発生の原因とメカニズムの解説

「がん家系」は、がんになっている血縁者が多い場合に使われる言葉です。この言葉には「がんは遺伝する」という考え方が見て取れますが、必ずしも正しくない考え方であることが明らかになってきました。がんは遺伝子の傷(変異)によって起こることが明らかになったのです。

細胞は分裂して増殖しますが、その際、遺伝子に変異が生じることがあります。細胞の増殖をコントロールする役割を担う遺伝子に変異が起こると、細胞が無秩序に増え、様々な悪影響をもたらす「がん」になります。遺伝が発症の主な要因となるがんもありますが、それはがん全体の5%から10%です。(*1)

一般的には、がんは遺伝要因と環境要因の組み合わせで発生します。後天的に遺伝子に傷がつくことも多いからです。喫煙するとがんのリスクが高くなるというのは有名ですが、それはタバコに含まれる成分が後天的に細胞の遺伝子に傷をつけるからです。遺伝要因と環境要因がどれくらいがんの発症に関わってくるのかについてはこれまで多くの研究があり、がんの種類にもよりますが概ね遺伝要因の影響は30-40%程度であるとされています。

がん遺伝子とがん抑制遺伝子

遺伝子にはそれぞれ役割があります。がんの発症に関わるのは、「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」です。細胞は分裂して増えていきます。がん遺伝子には、がんという名前がついていますが、正常な細胞にもあります。通常は適度に細胞を増やす役割を担っています。しかし、がん遺伝子に変異が生じると細胞が無制限に増殖が止まらなくなってしまいます。

一方、がん抑制遺伝子は、細胞が増えるのを抑えたり、異常な細胞を排除したりする役割を担います。がん抑制遺伝子に変異が起こると、増殖にブレーキをかけられなくなり、がん発症につながるのです。

がんはどこまで遺伝する?孫、親、きょうだい、親族

人は両親から1つずつ遺伝子を受け取ります。片方の親にだけ、がんに関連する遺伝子に変異がある場合、その子ども、つまり、第1度近親者(自分から見た場合、父母、きょうだい、子ども)では、2人に1人、50%が同じ変異を受け継ぎます。

同じ変異を受け継ぐ確率は、第2度近親者(同、祖父母、おじ・おば、おい、めい、孫)では25%、第3度近親者(同、曽祖父母、大おじ、大おば、いとこ)は12.5%です。がん遺伝カウンセリングで確認するのは第3度近親者までの情報です。遺伝や家族歴が気になる方は、第3度近親者までのがん発症を参考にされると良いでしょう。

遺伝しやすいがんの種類とは

ほとんどのがんは、生まれつき持っている遺伝子の変異よりも、生活していく中で後天的に獲得する遺伝子変異が積み重なって発症します。ただし、生まれつき持っている遺伝子の変異が発症に強く関わることが明らかな「遺伝性腫瘍」と呼ばれるがんがあります。代表的なものは、大腸、乳房、子宮、卵巣、膵臓などに起こる遺伝性腫瘍です。

大腸がんと遺伝

大腸の遺伝性腫瘍として代表的なものは、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)と家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)です。

リンチ症候群

リンチ症候群は大腸がん全体の2〜5%を占めます。発症原因は、遺伝子のコピーミスを修正する「ミスマッチ修復遺伝子(MSH2MLH1MSH6PMS1PMS2)」の生まれつきの変異です。

リンチ症候群の人の約80%が、大腸がんを発症すると報告されています。リンチ症候群では大腸がん以外にも、子宮(内膜)、卵巣、胃、小腸、肝胆道系、腎盂・尿管がんなどの発症リスクが高まります。

家族性大腸腺腫症

家族性大腸腺腫症の発症頻度は大腸がん全体の1%以下です。(*2)若い時から大腸にポリープができ、年齢とともに数が増えてポリープが100個以上になることもある病気です。放っておくと40歳代までには約半数が、60歳代にはほぼ全員が大腸がんになるといわれています。

家族性大腸腺腫では、70%にがん抑制遺伝子の1つであるAPC遺伝子に生まれつきの変異がみられ、これが最も多い原因とされています。(*3)

乳がんと遺伝

乳房の遺伝性腫瘍で代表的なものが、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)です。HBOCの原因は、BRCA1BRCA2という遺伝子(片方あるいは両方)に起こっている生まれつきの変異です。遺伝性乳がん卵巣がん症候群では、80歳までの乳がん発症確率が約70%と報告されています。(*4)また、一般的な乳がんよりも若年で発症する傾向があります。

そのため、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性が疑われる方は、保険でBRCA1/2遺伝子検査を受けることが可能です。保険適応となるのは以下のいずれかに当てはまる方です。

下記の条件を満たす乳がんの方

  • 45歳以下で乳がんになった女性
  • 60 歳以下でトリプルネガティブ乳がんになった女性
  • 2ヵ所以上の乳がんになった女性
  • 第3度近親者までの血縁者に乳がんまたは卵巣がんになった方がいる女性
  • 男性乳がんの方
  • 卵巣がん、卵管がん、腹膜がんと診断された方

また、がん抑制遺伝⼦であるTP53が生まれつき変異していることで発症するリー・フラウメニ症候群も乳がんの発症が高く、生涯乳がんを発症する確率は約25〜60%とされます。(*5)

卵巣がんと遺伝

卵巣がんの遺伝性腫瘍も、先述の遺伝性乳がん卵巣がん症候群が代表的です。日本の卵巣がん全体における遺伝性乳がん卵巣がん症候群の頻度は約15%(BRCA1変異は約10%,BRCA2変異は約5%)です。遺伝性乳がん卵巣がん症候群と診断された女性が、生涯で卵巣がんになる確率は、BRCA1遺伝子変異保持者で約40%、BRCA2遺変異保持者で約20%です。ちなみに、一般の女性が卵巣がんになる確率は1.3%ですから、大きく違います。(*6)卵巣がんと診断された方も、保険でBRCA1/2遺伝子検査を受けられます。

膵臓がんと遺伝

膵臓がんは、3〜10%が家族歴(親族や同居者の治療中の病気や今までかかった病気の記録)を背景に発症すると報告されています。膵臓がんでは、生活環境に加え、家族歴や遺伝性膵炎、遺伝性膵がん症候群(遺伝性乳がん卵巣がん症候群、Peutz-Jeghers症候群、家族性異型多発母斑黒色腫症候群、遺伝性非ポリポーシス、家族性大腸腺腫ポリポーシス)といった遺伝的要因が、発症リスクとして明らかになっています。

第1度近親者に膵臓がんが2人以上いる「家族性膵がん家系」では、膵臓がんのリスクは1.7~2.4倍です。遺伝的要因による膵臓がんの発症リスクは、遺伝性膵炎で53~87倍、生まれながらに特定の遺伝子(PRSS1SPINK1STK11CDKN2A/p16BRCAMLH1MSH2MSH6PMS2)異常を持つ遺伝性膵がん症候群でもリスクが高くなります。(*7)

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
家族性膵がん家族歴1.7~2.4倍
家族性膵がん6.79倍, 家族の膵がん発症者が50歳未満では9.31倍
遺伝性遺伝性膵炎53~87倍
遺伝性乳がん卵巣がん症候群4.1~5.8倍
Peutz-Jeghers症候群132倍
家族性異型多発母斑黒色腫症候群13~22倍
家族性大腸腺腫ポリポーシス4.4倍
遺伝性非ポリポーシス大腸がん~8.6倍
合併疾患糖尿病1.94倍
肥満BMI 35kg/㎡以上の男性で3.5倍, BMI 40kg/㎡以上の助成で2.76倍
歯周病1.54~1.74倍
慢性膵炎13.3倍
IPMN分枝型では年間1.1~2.5倍
膵嚢胞約3倍
嗜好喫煙1.68倍, 喫煙本数と相関
飲酒エタノール換算で37.5g/日以上で1.22倍
職業塩素化炭化水素曝露2.21倍

食道、肺など他のがんと遺伝の関係

そのほかにも、家族歴や遺伝が発症に関わるがんがあります。日本人10万人以上の調査では、がんになった家族がいる場合、食道がんの発症リスクは2.11倍、肺がん1.51倍、胃がん1.36倍、肝がん1.69倍、子宮がん1.93倍、膀胱がん6.06倍という報告があります。(*8)

例えば、食道がんは、喫煙と飲酒が大きな発症原因であることが多くの研究で示されていました。

近年、飲酒歴のある食道がん患者さんでは、がん抑制遺伝子であるTP53遺伝子の変異が多く見られると報告されました。

肺がんでは、同じくTP53遺伝子に生まれつきの変異があるリー・フラウメニ症候群で、発症リスクが22%と高いことが判明しています。

質問者

質問者

医療保険でがんの遺伝子検査が受けられるようになったのですか?

先生

先生

はい、数年前から特定の医療機関でも受けられるようになりました。がんになった後、治療薬を決めるために行う遺伝子検査です。

質問者

質問者

がんになる前に遺伝子の状態を調べるのかと思っていました。

先生

先生

がんになる前にできる遺伝子検査もありますよ。病院で受けられる遺伝子検査との違いを説明しましょう。

遺伝性のがんのリスクがあるか調べる検査方法と費用

がんに関連する遺伝子を調べる検査には、病院で行う方法と自宅で行う方法があります。

病院で行う検査は、がんと診断されてから、血液やがん細胞に遺伝性のがんに関連する遺伝子の変化を調べます。検査費用(自費)は施設によって違いますが、70種以上の遺伝子を一度に調べる検査(Guardant360という検査キット)で40万円代からが多いです(受診料は別途)。(*9、10、11)

また、抗がん剤治療開始時に行う検査や、有効性な治療法終了後に次の薬を探すために行う検査などは保険適用です。病院で行う検査には、遺伝性腫瘍では遺伝子カウンセラーに相談できる、最新機器を使い数百の遺伝子が一度に検査できるなどのメリットがあります。一方、検査を受けるにあたり、遺伝カウンセリングが必要だったり、検査結果が出るまでに時間がかかるというデメリットがあります。また、遺伝性乳がん卵巣がん症候群を診断するために行われる「BRCA1/2遺伝子検査」も病院で行う遺伝子検査の一例です。

ご自宅での検査は、手軽に検査が受けられる、がんにかかる前にリスクを調べられるというメリットがあります。一方、費用は全て自己負担で、多くは数万円~数十万と高価です。また、がんの診断や、遺伝性腫瘍の原因遺伝子を診断することはできません。今とくにがんの疑いがあるわけではないし、家族に遺伝性腫瘍になった人もいないけれど、自身が生まれ持ったがんの発症リスクについてあらかじめ知っておきたいという方にはおすすめです。

がんの発症リスクにかかわる遺伝子変異について自宅で気軽に調べられる検査として、マイシグナル・ナビという検査があります。だ液を用いた一回の検査で、がんのリスク因子として報告されている多数の遺伝子を一度に調べることができ、あなたの生まれ持った体質について知ることができます。

あなたの遺伝的傾向にあわせて、がんを予防するために日常生活の上で気をつけることや、早期発見のためにどのような検査をうければいいのかについて詳細にアドバイスがもらえます。遺伝子検査の結果は一度受ければ一生変わりませんので、知識として一生使える大きな財産になりますし、気になる方は一度受けていただくと良いかと思います。

まとめ、がん早期発見のためにできること

がんは早期発見、早期治療が重要です。今は、がんにかかる前に遺伝子レベルでリスクを知ることができるようになりました。ただし、あくまでリスクを調べるものですので、早期発見の基本は、定期的にがん検診です。ただ、忙しくてなかなかがん検診を受けられないという方も多いと思います。そんな時、マイシグナル・スキャンを使えば、自宅で簡単にリスク検査を受けることができます。一度試してみてはいかがでしょうか。

参考
  • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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この記事の監修者

水沼 未雅

博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。ストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。